「建設業許可を取ったので、東京都の工事へ入札できますか?」
「経審を取れば区役所の工事にも参加できますか?」
公共工事へ新規参入する会社で特に分かりにくいのが、建設業許可・経営事項審査・入札参加資格の違いです。
この3つは別の制度です。
目次
まず3つの違いを理解する
非常に簡単に整理すると、
建設業許可
→ 建設業を営むための許可
経営事項審査
→ 公共工事を直接請け負おうとする建設会社を客観的に点数化する審査
入札参加資格
→ 個別の国・自治体等が「当団体の入札に参加してよい業者」として登録する制度
という違いがあります。
したがって、建設業許可を持っているだけでは、通常は公共工事の一般競争入札等に自由に参加できません。
入札参加資格は発注者ごとに異なる
入札参加資格は全国共通の資格ではありません。
例えば、
- 東京都
- 東京23区
- 市町村
- 国土交通省
- 各省庁
- 独立行政法人
など、それぞれの発注機関が入札参加資格制度を設けています。
そのため、
「東京都の資格を取ったので、すべての自治体の工事へ参加できる」
というわけではありません。
自社がどこの公共工事を受注したいのかを決めて、それぞれ必要な資格を取得します。
東京都では定期受付と随時受付がある
東京都の競争入札参加資格には、定期受付と随時受付があります。
東京都では定期受付を2年に1度行い、その期間外に資格が必要になった事業者等について随時受付を行っています。 citeturn889557search4
「定期受付を逃したから2年間まったく申請できない」とは限りません。
ただし、随時受付の場合の有効期間など、定期受付と異なる点があるため確認が必要です。
「等級」とは?
公共工事の入札では、「A」「B」「C」などの等級・格付けが設定されることがあります。
この格付けによって、
どの程度の規模の工事へ参加できるか
が変わってきます。
等級決定では経審P点が重要な材料になりますが、発注者によっては、
- 完成工事高
- 過去の施工実績
- 発注者独自の評価
- 地域要件
- 技術者
- 主観点
などを加味する場合があります。
したがって、
経審P点=入札等級
ではありません。
初めて公共工事をやる会社はどこを狙えばいい?
最初から大規模な国・都道府県発注工事だけを狙う必要はありません。
会社の所在地や工事業種によっては、
- 地元市区町村
- 小規模修繕
- 小規模工事
- 学校・公共施設の補修
- 舗装・設備・内装等の専門工事
などから公共工事実績を作っていく方法もあります。
公共工事では施工実績そのものが次の入札へ影響することもあります。
そのため、初年度から「最高ランク」を目標にするのではなく、
数年かけて公共工事実績・技術者・経審点数を積み上げる
という考え方も重要です。
入札に参加する前に電子入札の準備も必要
現在の公共工事では、電子入札が一般的です。
入札参加資格を取得しただけでなく、
- 電子証明書
- ICカード
- 電子入札システムの利用者登録
等が必要になる場合があります。
資格取得後すぐ案件に参加したい場合には、入札参加資格申請と並行して電子入札環境を準備するとスムーズです。
入札参加資格を取ったのに案件へ参加できないこともある
入札参加資格は、
「その発注者のすべての工事へ参加できる権利」
ではありません。
個別案件ごとに、
- 業種
- 等級
- 所在地
- 施工実績
- 配置技術者
- 特定建設業許可
- その他の参加条件
などが設定されています。
その案件の条件を満たして、初めて入札へ参加できます。
公共工事参入は逆算して設計する
公共工事を始める場合、
「とりあえず経審だけ取る」
よりも、
①どの発注者を狙うか
②どの工事業種を狙うか
③その発注者の資格要件は何か
④必要な経審点数・実績は何か
⑤不足しているものは何か
という順番で考えた方が効率的です。
行政書士法人Deeでは、建設業許可から経審、入札参加資格申請まで一連でサポートしています。
初めて公共工事を受注したい建設会社が準備すべきこと7選
「民間工事だけでなく、公共工事も受注していきたい」
その場合、建設業許可と経審を取るだけでなく、数年単位で会社の体制を整えていくことが重要です。
1.受注したい業種の建設業許可を確認する
まずは公共工事で狙いたい業種について建設業許可を持っているか確認します。
許可業種と入札業種は密接に関係します。
2.決算変更届を毎年適切に提出する
経審では建設業用の財務諸表、工事経歴等を使用します。
過年度の決算変更届が未提出の場合、まずそこから整理する必要が生じることがあります。
3.工事経歴を普段から整理する
経審時期になってから、
「この工事は何工事だったか」
「元請だったか下請だったか」
「請負金額はいくらだったか」
を調べ始めると大変です。
日頃から、
- 工事件名
- 工事場所
- 発注者
- 元請・下請
- 工事業種
- 請負金額
- 工期
を整理することをおすすめします。
4.技術者の資格を管理する
技術者資格は、建設業許可だけでなく経審のZ点や実際の工事現場の配置にも関係します。
従業員の資格取得状況、合格証明書、監理技術者資格者証等を一元管理しておくことが重要です。
5.毎年経審を受ける
公共工事を継続的に受注するのであれば、経審結果を切らさないことが重要です。
経審の有効期間は審査基準日から1年7か月です。 citeturn889557search38
6.入札参加資格を取得する
公共工事を受注したい発注機関を決め、その発注者の資格を取得します。
最初から多数の自治体へ申請するのではなく、自社の所在地・営業エリア・得意工事を考えて優先順位を決めるのも一つの方法です。
7.経審は毎年「点数を見る」
経審結果通知書を取得したら、保管して終わりではありません。
前年と比較して、
- X1
- X2
- Y
- Z
- W
- P
がどう動いたかを確認します。
点数が下がったのであれば、
なぜ下がったのか
まで確認することが重要です。
2026年7月にはW点の制度改正も行われていますので、以前有効だった対策が現在も同じとは限りません。 citeturn889557search3
公共工事は「一度入札して終わり」ではない
公共工事へ参入すると、
決算 → 決算変更届 → 経審 → 入札資格 → 入札 → 工事実績 → 次年度経審
というサイクルが毎年続きます。
そのため、最初の入札参加資格を取ること以上に、毎年の許可・経審・技術者・工事実績を継続して管理できる体制を作ることが重要です。
行政書士法人Deeでは、建設業許可、決算変更届、経営事項審査、入札参加資格申請まで継続してサポートしています。

